成蹊医会

米国留学(その3)〜留学時期

===米国留学(その3)〜留学時期===
前回の「米国留学(その2)」の記事からずいぶんと時間が経ってしまいました。今年(平成28年)は成蹊医会のイベントに参加して、この記事の続編を長らく書くのを忘れていたのを思い出し、久々にネタを考えた次第です。

今回(その3)は、留学する進学時期(中高大院)の話について簡単に触れてみます。

〜留学時期、年齢など〜
留学といえば大学在籍中の短期の交換留学や大学院で海外の大学へ進学するという人が多いと思いますが、最近では中学高校生、もしくは大学(under graduate)で海外の大学に進学する人もいます。私が高校生の頃は珍しかったですが、今では日本で育った日本人でも東京にあるインターナショナルスクールに通っている中高生も昔より増えていることでしょう。実際に私の日本人の友人の子供でも小学校からインターナショナルスクールに通わせている人もチラホラいます。


成蹊高校ではオーストラリアのカウラやNew Englandにあるセントポールに交換留学生として派遣される生徒もいます。今は大学生の交換留学制度は珍しくないですが、いづれ高校生の希望者全員が半年から1年間ほど海外の高校へ短期留学できる時代がくると面白いと思いますがいかがでしょうか。留学経験のある成蹊学園の卒業生が今後も増えて、海外の学校との太いパイプが築いていけたら、いずれ提携校も増えていく可能性があります。

10代のうちに留学できたらアメリカ社会に深く溶け込むことも可能で、中高生の寄宿舎学校(*1)(とその流れで学部レベルでアメリカの大学に行く)や学部生で留学するのも面白いでしょう。

やはり日本の高校を卒業直後に海外の大学(under graduate)に入学するのは現在の日本の高校カリキュラム上からして準備が一番大変かもしれません。大学院から留学するよりも全寮制の多い学部(under graduate)から留学(入学)する方が英語(読み書き、会話ともに)がうまくなる気がしますが、宿題等で英語漬けになる代わりに授業についていくのが大変なのは仕方ありません。

尚、大学院生になると専門がある程度決まっている場合もあり、すでに専門用語がわかっている人なら学部(under graduate)生よりも(留学中の)授業は理解しやすいとも言われます。

余談ですが、アメリカ人の友人等とスポンジ製フットボール(NERF FOOTBALL(*2))を使ったタッチフットボールや友人宅(自宅ガレージ前にバスケットのボードとリングがある家が結構ある)で「1 on 1」でやるバスケットボールなどの一般的な遊びは有名です。大学院生ともなるとあまりしない遊びだが、意外とこういう古くからある遊びが普通のアメリカ人との交流において重要だったりする気がします。

尚、中学生くらいからアメリカに渡って中学高校を経て更にそのままアメリカの大学へ進んでアメリカ社会に馴染んでしまうと、大学卒業後に日本へ帰ってきて日本で就職して生活するのは言語(漢字の読み書き)の壁もさることながら、文化や慣習の違いから中々厳しいようです。やはり、こういった経歴だとそのままアメリカで就職してしまう人が多いようです。更に今後日本より東南アジア諸国の方が経済の発展スピードが速いことを考えた場合、若いうちから英語で仕事が出来る人材の方が未来が(日本に閉じこもっているよりも)明るいとも言えます。活躍したい地域(アフリカや南米など)や職場(国際機関など)によってはスペイン語やフランス語が更にできたら大変有利です。(*3)


アメリカの大学生は授業をサボってバイトに明け暮れる学生生活は(卒後業出来なくなるため)難しいです。(返済不要の)奨学金をもらったり、学内で斡旋される図書館受付のバイトや学内の喫茶店でのバイトくらいならあります。あとは学生ローンを組んで借金して大学に行く人も多い。あと、日本の大学でも今では珍しく無いのでしょうが、夏休みは企業でインターンでしょうか。昨今、アメリカの私立大学の学費の高さは大きな社会問題となっています(*4)。


==注釈==
(*1)寄宿舎学校。ボーディングスクールともいう。中高一貫校で名門大学入学を目指す。昔の日本にあった旧制高校(一高〜八高)と似たような発想の学校でしょう。

The Ten Schoolsが有名。ほとんどがアメリカ東部New England地方にある。

Philips Academyが有名:

http://www.andover.edu/Pages/default.aspx

St. Paul’s Schoolは成蹊高校と提携しているので皆さんもご存知でしょう。

http://www.sps.edu/page

Fay School。小学校から中学校限定。私はサマースクールだけ通った。

http://fayschool.org

私の子ども時代の記憶を絞り出したところ、私が小学生時代に米国のボストン近郊に住んでいたので同じMassachusetts州にあるこのボーティングスクールがやってるサマースクールに入って2ヶ月ほど過ごしたことを思い出した。この学校は小学校と中学生までが対象であり、高校は別の学校に進学する。例えば、ボストン近郊に住んでる子供たちは、夏休みにMassachusetts州やお隣のNew Hampsire州などでやってる全寮制のサマースクールに行く子も多い。他にも通学方式のサマースクールもある。期間は2週間(通学制)から2ヶ月(全寮制)のサマースクールまで様々である。ここでは午前中は英語の勉強をして、午後からテニスやサッカーなどの予め用意されたカリキュラムから希望する科目を選んで好きなスポーツをしていた。こちらに来ていた生徒はアメリカ人以外にもヨーロッパや中南米など海外からも生徒が来ていた。中東からも来ていたかもしれない。私と同じ寮の部屋にいた子はドミニカ共和国から来ていた。最近だともしかしたら日本から来ている子もいるかもしれない。

以下の本が実際の(米国の)ボーディングスクールの学生生活は詳しい。高校生ともなると(サマースクールと違って)勉強も厳しいだろう。私も昔読んだが面白かった。

『レイコ@チョート校』
アメリカ東部名門プレップスクールの16歳岡崎 玲子

http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0114-e/


(*2)NERF FOOTBALL。小・中学生の子供が校庭や庭でフットボールで遊ぶときに使うスポンジ生のフットボール。こうして、気付いたらアメリカ人は家族ぐるみでアメフトファンになっていくのだ。バスケットボールも同じであろう。

http://nerf.hasbro.com/en-us/product/nerf-n-sports-pro-grip-football-green:61631759-5056-900B-1040-2B7050898EC5

(*3)

例えば、WHO (World Health Organization)の人材募集の以下のサイトを見てみましょう。

“Who are we looking for?” (どんな人を求めているか?)

You are fluent in the working language of the office of assignment (English or French for WHO Headquarters)”are fluent, 流暢な英語かフランス語ができること)

http://www.who.int/employment/internship/en/

“Who we need” (どんな人が必要か?)

http://www.who.int/employment/who_we_need/en/

“Required qualifications
Professional positions
Do you have:
A university degree as well as a postgraduate specialization in a health- or management-related field, relevant to WHO’s work?
Experience at the national and international levels in your area of expertise?
Good analytical skills, an understanding of policy issues and a keen interest in public health?
A proficiency in English and good working knowledge of a second UN language (Arabic, Chinese, French, Russian, Spanish)?
Effective teamwork and communication skills?”
a proficiencyな英語に加えてgood working knowledge of a second UN (United Nations, 国連)languageとしてアラビア語、中国語、フランス語、ロシア語、スペイン語)

“Current vacancies” (現在の募集職種。空き状況。)

http://www.who.int/employment/vacancies/en/

(*4)「「サンダース世代」とは何か? 社会主義者・サンダース氏を若者が支持する理由。」

アメリカの私立大学の学費が年々高騰しており、医療費と並んで大きな社会問題となっている。今回の大統領選のテーマの一つにもなっている。
http://www.huffingtonpost.jp/robert-kuttner/sanders-generation_b_9191046.html
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帰国してしまった場合、卒業後も長期に留学時代の友人らと交友関係を続けるのは中々大変ですが、インターネットのおかげで帰国してからも以前と比べて海外に住む友人との定期的な連絡は取りやすくなったと言えます。

2011年に筆者が友人を訪ねてボストンを来訪したときに撮った市内を流れる“Charles River, Boston, MA.”

ヨットスクールが有ります。河をはさんで近くには有名なHarvard UniversityMITがあり、有名な病院のMGH (Massachusetts General Hospital )もこの近くにある。

〜米国留学(その4)へ続く〜

2016年春(高校39回卒 F
===米国留学(その3)終わり===