成蹊医会

成蹊プレメ同窓会

成蹊プレメ同窓会

平成26年5月11日、吉祥寺第一ホテルにおいて、成蹊会プレメ(昭和24年~37年成蹊大学医学歯学進学過程)同窓会が開催されました。

同窓会総会後、参議院議員 武見敬三氏による講演「活力ある健康長寿社会を目指して」が行われましたので、その内容につき、簡単にご紹介いたします。

1960年代、池田内閣時代に国民所得倍増計画のもとに、経済政策と所得格差緩和や社会的安定の確保といった社会保障政策が行われ、国民皆保険制度及び国民皆年金制度が創設された。これにより、健康で教育レベルの高い中産階級社会の増産が図られ、低所得者層を吸収し、所得格差の少ない安定した社会が形作られた。当時の日本のGDPは国民一人当たり4291ドルであり、これは現在のASEAN諸国と同程度であり、この時代にこれらの制度を達成できたことは将来を見据えたすぐれた政策であったと言える。この政策のお蔭で、その後も所得格差は低く抑えられ、高度成長時代にも、むしろ所得格差は小さくなるという現象も見られた。国民の多くが中流社会に属し、満足していると感じられる社会が長く続いていることは当時の政策のお蔭と言える。

国民が分け隔てなく医療を受けられることにより乳幼児、妊産婦死亡率の減少や疾病構造に応じた対策を立てることにより結核等の感染症の減少や高血圧対策による脳卒中の減少等が実現され、日本は諸外国に比べ群を抜いて急速に死亡率が減少し、平均寿命の延伸を実現した。しかし、平均寿命と健康寿命との間に約10年の開きが指摘されており、今後は健康寿命を延伸し、この差を解消すべき、政策のパラダイムシフトが求められている。

これに合わせ、経済的に活力のある健康長寿社会を目指して、社会保障制度改革プログラム法骨子に「高齢者も若者も健康で、年齢等にかかわりなく働くことができ、持てる力を最大限に発揮して生きることができる環境の整備に努めるものとする」との内容が盛り込まれた。健康寿命の延伸により、健康な高齢者が収入を得て、年金をもらう側から支払う側に回ることが期待されている。

また、医療政策決定過程にも大きな変化が起きている。地方分権化を推進し、保険者統合や地域医療ビジョン策定の総合責任者としての役割を各都道府県知事が担い、各地域ごとに医療ビジョンを策定することとなる。

在宅医療充実政策の一環として、医療と介護を一体化した地域完結型包括ケアシステムの充実や、病床の規制、診療報酬及び基金を通じた補助金による医療財源配分、これらの権限は知事に託され、医療機関や医療保険者が参画し、将来の医療需要と各医療機能の必要量を明らかにし、個々の医療機関の地域における機能分化、連携を推進するための「協議の場」の設置が予定されている。さらに、協議の場での合意を無視して過剰な医療機能に転換しようとする場合、現行医療法上の措置を知事の権限を持って行えるよう整備が検討されている。

最後に、消費税問題についても触れ、消費税引き上げにより医療材料が多い急性期病院などの経営に大きなインパクトを与える。5%から8%への増税は診療報酬による補填が行われたが、10%への引き上げが予定される中、消費税負担への対応として、診療報酬で補填する、診療報酬を課税化する、消費税負担分を還付・返還する、等の対応が検討されている。

等々、盛りだくさんの話題で、今後の医療政策につき、多くの示唆に富むお話を頂きました。

続く懇親会では、プレメ会長、嶋田甚五郎先生の音頭のもと、出席者全員が近況報告されました。プレメは最も若い年代が70歳を超えたとのことですが、皆様全く年齢を感じさせず、80歳を過ぎても尚、現役で診療や手術を続けておられるなど、とてもお元気に、溌剌とご自身の近況を語られておられました。

現在の成蹊医会はプレメ世代の先生方が作られた会です。

会運営の重責を感じ、今後ますます発展させていかなければと思いを新たにした次第です。

成蹊医会 事務局 高35期 進藤幸雄

懇親会場での集合写真です。(クリックで拡大、鮮明化します。)