かわしま神経内科クリニック 川嶋乃里子(高53)
機会があって、4月にサンディエゴで開かれたInternal Medicine 2011(ACPの年次総会)とワイキキで開かれたAAN(米国神経アカデミー)の年次総会に参加しました。前者はGeneralistの、後者はSpecialistの会合で、集まった医師たちの雰囲気もかなり違いました。
Internal Medicine 2011のOpening Ceremony(Baron先生)の講演では、多大な書類で医師が押しつぶされている漫画が印象的でした。書類が多いのは日本だけではないようです。概してACPの会合は庶民的である一方とても親切な所があり、小グループでの有料の講習では必ずtable top facilitatorがおり、できの悪い医師(私など)にもやる気があるのなら援助して一緒に成長しようという姿勢を感じました。また、International Chapterのnetwork receptionではACP会長が複数の会場を自ら挨拶してまわり、私のような平の会員とも会話する機会をくださるなど、米国的サービスの優れた所を感じました。
AANの会合はややすましたクールな会合でしたが、予め予約する有料の講習は、会合の約2週間前にe-mailで参考文献つきのテキストが配られ、当日は更にスライドのハンドアウトを配るという充実したサービスぶりでした。CMEと関連しているとはいえ、有料で内容が吟味された講習の良さを感じました。
GeneralistとSpecialistまたはHospitalistがシームレスに医療を提供するにはどうしたらよいかという問題が、この2つの学会中に私が受けた講習で双方の立場から議論されておりました。黒川清先生は、Generalist vs. Subspecialist:What Distribution is Best for Our Patients?というご講演をInternal Medicine 2011でされ、大変タイムリーな話題で、是非来年の成蹊医会年次総会でふれて頂ければと存じます。
Media trainingも重視されているようで、ACPではERで10年以上勤務した経験があり現在CNNやABC Newsなどで医療系ニュースのキャスターをされている女性医師の話を聞く機会がありました。AANでは、Mediaのプロが数分のインタビューをしながらカメラを回し参加者の弱点を指摘してくれるというプログラムに参加しました。Media側からの示唆は同様で、「Mediaは、たくさんの情報を次々に流さなければならない。その中で自分の意見をアピールするには、短時間で核心となることを印象深く伝える工夫が必要である」ということでした。
ACPでもAANでも多くの国際会員が参加しておりました。カナダ、パナマ、インド、ドイツ、サウジアラビアなど様々な国の方と同席しお話しする機会がありました。日本の地震・津波・原子力発電所の事故のことを皆さん心配して下さいました。スーパーで桜の花びらを描いたカードを持って義援金の寄付を集めている学生さん達にも会いました。
いろいろな国の人たちと肌で触れあう機会を国際学会は提供してくれます。若い方は勿論ですが、私のように年をとっても参加する価値があると思いました。